本日のMENU
ラボ1(※1号館1F 118教室の向い)にて、株式会社サトー様の製品デモ見学会を行う。時間厳守。
1組=15:00-15:30
2組=15:30-16:00
3組=16:00-16:30
(山内さん休憩タイム)
4組=16:40-17:10
5組=17:10-17:40
6組=17:40-18:10
フィールドワークの一部として、実際にシェアサイクルに乗ることと、相互インタビューを行ってもらった。自分自身の経験によって、「見た」「聞いた」といった直接仕入れた情報を一次情報という。それに対して、「人づてに聞いた」「ネットで読んだ」「テレビで見た」などの第三者を介して得た情報を二次情報という。一次情報の方が確実性が高いことは言うまでもないが、我々のような学部の中で生きていると、日々押し寄せる二次情報の海に溺れてしまいがちである。いつのまにか二次情報を消費することが当たり前になっていないだろうか。
フィールドワークは、一次情報を得るための方法である。この段階では、単にデータを収集することだけが目的としているわけではない。問題対象に真摯に向かい合い、自分ごとにしていくために不可欠なプロセスでもある。
フィールドワークは新鮮な体験が得ることができる反面で、初心者の場合には、見てきたものに偏り(バイアス)が起こりがちである。人はなかなか物事を客観的に理解することはできない。(例:確証バイアス、正常性バイアス、認知的不協和)
調査を通して見てきたことは、素朴な出来事(例:いろいろなものをみた、話が盛り上がった)や感想(例:緊張した、楽しかった)として結論づける前に、さまざな方向から検討してみることがなによりも大事である。 それらは素人が単純に「見た」だけではほとんど浮かび上がってこない。なので、詳しい人々の話を聞いたり、関連する文献などの情報ソースを当たりながら調べていく必要がある。
これらには、どこかに「唯一の、正しい解」があるわけではない。複数のチャンネルから丁寧にデータを集めていくことで、物事の輪郭が徐々に浮かび上がったり、当初の思い込みとは違うことがわかったりする。限られた時間の中では十分な調査時間を得ることは難しいが、どんなテーマであっても行動力は重要だ。 どんなものごとにも見えにくい影の部分があることをよく考慮して、可能な限り多角的に理解できるように努めよう。
前回の課題をもとに、
1)調べたことをまとめた資料
2)「グループ内の相互インタビュー」の会話内容、得られた事実、気付いたこと
3)上記の調査をおこなった上で、総合的に気がついたこと、考えたこと
この3つの調査をデザインにおける「インプット」として扱う。それを元に、アイデアを発想するという手順になる。
まず、これらのデータを整理・分析しやすくするために、付箋に書き写していく。個別に扱えるデータにすることを「単位化」という.
注意点は、
◎「事実」と「解釈」は色を分けておくこと。気づいたことだれが見てもそうだという客観的な「事実」と、主観的な「解釈」に分かれる。考えたことは解釈に含まれる。
◎今回はデジタルの文字だが、実際に付箋(ふせん)に書くときにはサインペンで書くこと。シャーペンは遠目には文字が見えなくなってしまうので不可。
◎単語だけでなく、文章で簡潔に書く。目安として、2週間後に見て分かる程度の密度で。(数日であれば単語でも思い出せるが、2週間ぐらい時間が経つと前後の文脈がないとけっこう思い出せなくなる)
注意点を踏まえた上で、アイデアを考える際にヒントになりそうなものを、グループでオンラインホワイトボードを用いて検討していく。(※今回はFigjamを用いる。グループのだれかのアカウントで作ってメンバーおよび教員にDiscordのmiro-figjamチャンネルで共有してください。Figjamに問題がある場合はmiroでもかまいません)
まず、それぞれでfigjam上の付箋に文章を書き写していく。明らかに意味のないようなことは書く必要はない。一人20枚以上50枚以内(多ければ多い方がよい)。
自分で書いた付箋は、証拠としてキャプチャをとって、自分のディレクトリにアップしておくこと。
付箋に書き終わったら、グループとしてどのような情報を手に入れられたかを共有してみよう。自分が書いた付箋をもとに、自分がしらべてきたことをチーム内で共有する。
作業に入る前に、いまからやることは一体なんのためなのか、課題の趣旨をもう一度思いだしておこう。
メンバーがかいた付箋を一覧できるように、Figjam上に展開する。それぞれのデータを眺め、自分の直感で、「これは面白い」「これには驚いた」「なんだかひっかかる」という付箋に、目印をつけておく。 似たものがあれば、仲間ごとにまとめる。議論しながら、まとめられそうなデータを意識しながら、並べ替えていく。
データのまとめ方はいろいろあるが、今回はAEIOU Frameworkとよばれるものを参考にしてみよう。日本人に分かりやすいように日本母音で並べ替えて「あいうえおフレームワーク」で覚えてもかまわない。
◎ あ:Activity(行動)
目標を見据えて進められる一連の行動のこと。到達したい目標に向かって、人々はどのような経路を巡るか?そこに特定の行動や手順は含まれるか?
◎ え:Environment(環境)
一連の行動が展開される総合的な環境のこと。その場所の全体的な雰囲気や働きはどのような言葉でいい表されるか?そこにプライベートな空間や公共の空間は含まれるか?
◎ い:Interaction(相互作用)
人と人、あるいは人とものごとの間で相互に働く作用のことであり、さまざまな行動の基本単位である。人々が、自身の生活環境の中で、あるいは遠距離感で他の人々やものごとと日常的な関わりをもつとき、そこに生じる相互作用はどのような性質を持つか?
◎ お:Object(もの)
環境を形成する基本単位のこと。重要な構成要素は時として複雑な働きを示し、場合によっては意図された以外の用途に使われて、その結果、本来の機能、意味、他の物事との関係性に変化が生じることがある。人々の生活環境にはどのような物や装置が存在し、それは人々の行動にどのように関わるか?
◎ う:User/Customer(人)
ふるまい、好み、ニーズを観察する対象となる人々のこと。彼らはどのような人物か?それぞれの役割や人間関係はどうなっているか?どのような価値観や先入観を持って暮らしているか?
例えば学食のリサーチデータの整理する際には、次のような具体的な視点が考えられる。
A:並ぶ,会計,食べる,片付ける
E:混んでる,賑やかな,年季が入っている
I:食券購入、トレーを取る,雑談する
O:テーブル,食器,メニュー,食券
U:学生,教職員,新入生,ネ学生
AEIOUのそれぞれの項目はそれぞれ独立しているのではなく、重要な相互作用を及ぼしながら関連し合っている。AEIOUの原則はあらゆるフィールドワークの手法に応用でき、メモ、写真、インタビューなど一般的な情報収集の基本原則として活用できる。またAEIOUを基準にワークシートを作成すれば、調査メモを分類し要点を整理することができるし、これらの項目をつかって情報を大別した上で、より細かな下位区分を設定することもできる。AEIOU法では規定の項目にそって情報を分類し分析するが、そこを出発点としてさらに分析を進めていっても良い。
引用&図版出典 Research & Design Method Index, Bella Martion / Bruce Hanington BNN 2013
このまとめた図は、ジグソーパズルのように完成系があったり、ピースが全部揃っていたりするものではないため、スッキリと無理なくまとまるわけではない。だいたいはちょっと無理やり詰めた感や、これでいいのかな、というもやもや感が強く残るものである。(そんなものだと捉えよう)しかし、見落としているなにかに気付くために、そして別々に見つけたはずなのに奇妙に一致する出来事に気づくために、無理矢理でも軸やマップを活用して探りだしていくことは必要だ。
自分たちが開発するツールの領域を検討するための図。現在の社会の中にあるコミュニケーションツールの種類を徹底的に洗い出し、それらの特性をいくつかの軸で分類している。模造紙は繋げてどこまでも大きくすることができるし、まとまりをつくるためにビニールひもなど身近な材料を応用しても良い(上平プロジェクト2014の活動より )
ある程度まとまりができてきたら、そのまとまりに相応しい「見出し用の付箋」を貼りつける. また、展開したデータやまとまったものを見て気づいたことがあれば、それも付箋に書き出して関連する箇所に貼り付けておく。(今回は負荷が高いのでおこなわないが、通常はこの大量のデータを抽象化して発想していくプロセスをKJ法といい、膨大な時間をかけて行う)
この段階でおこなっていることは、つまり「具体」から「抽象」に向かって考えていくことである。ときどき抽象という言葉を「具体的でない」と批判的に使う人がいるが、実は、ものごとを抽象化して扱う能力こそ、きわめて重要である。以下の引用を参照のこと。苦手だと思う人は、普段そうしていないだけで、訓練すればできるようになる。
抽象化の最大のメリットとは何でしょうか?それは、複数のものを共通の特徴を以てグルーピングして「同じ」と見なすことで、一つの事象における学びを他の場面でも適用することが可能になることです。つまり「一を聞いて十を知る」(実際には、十どころか百万でも可能)です。抽象化とは複数の事象の間に法則を見つける「パターン認識」の能力ともいえます。身の回りのものにパターンを見つけ、それに名前をつけ、法則として複数場面に活用する。これが抽象化による人間の知能のすごさといってよいでしょう。具体レベルの個別事象を、一つ一つバラバラに見ていては無限の時間がかかるばかりか、一切の応用が利きません。一般に「法則」とは、多数のものに一律の公式を適用でき、それによって圧倒的に効率的に考えることを可能にするものです。
「具体と抽象」細谷 功 dZERO 2014
参考:
KJ法については、上平のブログとスライドも参照。これを読めば、付箋を使っていったい何をしているのか、なぜ5W1Hで整理してはいけないのかが、すこし見えてくるだろう。
「付箋を貼って進めていくアレ」は、ただ付箋を貼っているわけではない
つぎに、まとまりをつくりながら、自分たちが目指すことの指針となる「キーフレーズ」を、5個程度抽出してみる。キーフレーズとは、調査から発見したことで、これは欠かせない大事なことだ、とメンバーが納得することば(文章)である。キーフレーズは、「具体的な名称」や「何にでもあてはまるような言葉」ではなく、それを起点に、解釈が広がるような言葉であること。またいくつか並置することで生まれる行間から、なんらかの方向性が導けるような言葉であること。どこにも向かいようのない言葉は、キーフレーズとは呼べない。
演習では、ここまでの作業確認を教員にもらうこと。キーフレーズは次週まで検討しなおしてもよい。鍵(キー)はならないような、ふわふわしたワードの場合はやり直しになるので要注意。改めて言えば、この作業は教員にOKをもらうためではなく、君たちのプロジェクトの進行を手助けする手がかりを見つけるために行っている。
課題1)方向性の決定
グループ内でのディスカッションをもとに、自分たちのチームの方向性として、「サービス」か「コンテンツ」のどちらかを選択する。
なお、「サービスっぽいコンテンツ」や「コンテンツっぽいサービス」というのも当然考えられるので、選ばなかった方向性を含んではならないということではないが、次回演習までに「どっちに進もうとするのか」は、はっきり決めること。捨てる勇気を持つことや、それをどのように合意をとるかも大事な学習である。
課題2)追加フィールドワーク
選択した方向性と抽出した5つのキーフレーズに対して,それらを深めるために、あるいは手がかりになりそうなことを詳細にしらべてみる。
1)自分たちでもやってみる
2)観察する
3)話を聞く(インタビューする)
を自分たちで何をしらべればよいか、考えて実施すること。同じキーワードであっても解釈することはみな違うものなので、分担して多角的に調べられるとよい。
調査したことは,写真/画像/スケッチと付箋を用いてまとめ、Figjam上に一覧化できるようにしておく。
また自分の担当したデータは別途googleドキュメントでまとめ、classroom /Discord個人チャンネルにリンクをはっておく。
◎〆切 6/3(月)13:00
※やってこない場合,またはうすっぺらいデータしか集められず行き止まりになってしまう場合は、その時点でチームごと周回遅れ(=再調査)となるので,よく調べてこよう。
次回演習では、各自サインペンかプロッキーを持参してください。(ボールペン、マッキーは不可)